資金調達の「融資」「投資」「出資」の違いについて
2018.09.10
事業で本格的に大きくしていくフェーズで、避けて通れないのが資金調達。
僕自身も、「設備投資」や「人件費」などで支出が大幅に増えることを見込み、資金調達をしようと考えた時に、ふと疑問に思ったことが「融資と投資と出資って何が違うんだろう?」という点です。
「経営者がやる仕事は”経理”と”人事”だよ」という言葉を頂いてから、一層お金に関しての知見を深めようと思っていたところ早速小石につまづきそうなので、この際「融資」「投資」「出資」の違いについてまとめておこうと思います。
以下は原則、「法人格」を所有している会社を対象にお話しします。個人事業主は該当しません。
「投資」と「出資」は同じで「融資」は大きく異なる
「投資」「出資」「融資」の3つの言葉はいずれも資金調達する言葉を差しますが、内容は大きく異なり、大別すると返済不要な「投資」と「出資」、返済が必要な「融資」に分けられます。
それぞれの特徴は下記の通りです。
投資 出資 |
融資 | |
---|---|---|
返済義務 | なし | 有り |
利子 | なし | 有り |
配当 | 有り | なし |
経営権 | 有り | なし |
経営に関与できる効力を持つ「投資・出資」
投資・出資は返済不要であり、事業に失敗した場合でも返済する必要はありません。
ただし、投資・出資は株を渡すことになるので、経営の意思決定に関与することになります。
特に気をつけなければいけないのが、持ち株比率(資本金に対しての所有株の比率)が50%を超えると実質的に経営の決定権を持つことができ、2/3以上所有すると他の株主を締め出す「スクイーズアウト」が可能となります。
つまり、2/3以上他の株主が所有されると、自分の会社が乗っ取られる可能性があるということです。
そのため、資本金に対しての出資比率(持ち株比率)は非常に重要になるので、注意しなければなりません。
利子をつけてお金を借りる「融資」
銀行や日本政策金融公庫などからお金を借りる場合は「融資」という扱いになり、経営の決定権は一切付与されないが、事業に失敗した場合でも返済義務があり、金利がつきます。
ただお金を借りたい場合は「融資」を選ぶが賢明で、金利と言っても今の日本は超低金利なので、1,000万円を1年借りても、10万円程度の利子で収まります。
特に経営を行う上で資金繰りは非常に重要な要素なので、とりあえず借りておくということも選択肢の1つです。
「投資・出資」と「融資」のメリット・デメリット
それぞれのメリットとデメリットについても見ていきます。
「投資・出資」のメリット・デメリット
「投資・出資」の大きなメリットは何と言っても経営のスペシャリストからアドバイスがもらえるという点です。
創業したばかりだと、今後どういうフェーズでリスクがあるか全くわかりません。
そこに対し、投資家や出資者は幾度となく経営に携わってきているので、その経営のスペシャリストからアドバイスをもらえるのは非常に心強いです。
また、投資家や出資者の人脈も使える可能性があるので、創業したての実績も経験もない経営者にとっては頼もしい存在でしょう。
ただし、自分の思うように意思決定ができなくなる可能性も十分にあるということは忘れないでください。
「融資」のメリット・デメリット
融資はお金を借りたいだけの人にぴったりの資金調達で、経営に関しての口出しは一切ありません。
しかし、創業間もない頃は売り上げが立たないケースも多く、返済に迫られて結局資金繰りが厳しくなる場合もあります。
融資には「据え置き期間」というものもあり、据え置き期間中は利子のみ支払えばいいという制度もあります。
経営のスペシャリストにアドバイスを貰いたいなら「投資・出資」、ただお金を借りたいなら「融資」
僕の場合、ただただお金を借りたいので、「融資」の方が都合がいいです。
答えがわかっている迷路は楽しくないし、サバンナのど真ん中に放り出されて死と隣り合わせの中、日々を過ごしたいですしね。
以上、「融資」「投資」「出資」の違いでした。