スクイーズアウトとは?少数株主を退出させる4つの手法

スクイーズアウトは会社の売買を行うために少数株主から株を強制的に買収する方法で、M&Aする際や、経営を円滑に行うために対立する株主を締め出すために行われます。

そんなスクイーズアウトについて、簡単な解説と4つのスクイーズアウトの方法についてお伝えします。

少数株主の締め出し手続き「スクイーズアウト(キャッシュアウト)」

スクイーズアウトとは、持ち株比率が2/3以上を超えた株主が行える手続きで、所定の手続きを踏むことで強制的に少数株主の締め出しを行うことができます。

スクイーズアウトのことをキャッシュアウトとも言います。

強制的な買い上げなので、少数株主はお金をもらうことができるが、株に対する金額はスクイーズアウトする会社が決定するため、口出しできません。不満がある場合は裁判を起こすしかありません。

スクイーズアウトを行う目的は下記4つです。

  • 事業継承、M&Aを行うために持ち株比率を100%にするため
  • 経営に支障をきたす対立的な株主の排除
  • 持ち株比率を100%にして経営の迅速な意思決定のため
  • タックスメリットを受ける、あるいは上場廃止

実例として、有名どころの会社で言えば「日本生命」と「カネボウ」があります。

日本生命のスクイーズアウト

日本生命が、三井生命の持ち株比率90%以上の状態で、残りの10%をスクイーズアウトにより持ち株比率を100%とし、経営統合と発表されました。

カネボウのスクイーズアウト

カネボウが経営を立て直すために、「花王」に売却を決意、その際に少数株主を締め出すためにスクイーズアウトしました。

スクイーズアウトの4つの手法

スクイーズアウトするには、最低2/3以上の株を所有していないといけません。

スクイーズアウトを実行方法は下記の4通りです。

  • 現金対価株式交換
  • 全部取得条項付種類株式
  • 特別支配株主の株式等売渡請求
  • 株式併合

「現金対価株式交換」によるスクイーズアウト

持ち株比率が2/3以上という条件で、株式交換の対価として買取会社が買収対象会社の株主に金銭を交付することで、少数株主を退出させる方法です。

「特別支配株主の株式等売渡請求」によるスクイーズアウト

「特別支配株主」とは、議決権90%以上の大株主が少数株主に対して強制的に売却を命じることができる方法で、株主総会などの手続きが不要なため、90%以上保有している場合は「特別支配株主の株式等売渡請求」の方法でスクイーズアウトが行われます。

ほとんど事務手続きのみでスクイーズアウトを行うことができます。

「全部取得条項付種類株式」によるスクイーズアウト

買収対象会社の既存の普通株式を全部所得条項付の種類株式に変更し、それを少数株主が端数にある種類株式を対価として買収対象会社が取得する決議をし、少数株主に端数相当の金銭を交付して退出させる方法です。

「株式併合」によるスクイーズアウト

買収対象会社の少数株主の会員が1株未満となる株式併合を行い、少数株主の端数相当の金銭を交付して退出させる方法です。

スクイーズアウトを阻止する方法

スクイーズアウトを阻止する方法はありません。

ただし、スクイーズアウトで交付される金銭が著しく低廉になるような条件だった場合、裁判でスクイーズアウトが取り消される可能性があります。

持ち株比率には十分注意が必要

「融資」ではなく「出資」や「投資」などで資金調達をする場合は、持ち株比率によって議決権が付与されるため、最悪の場合、創業社長がスクイーズアウトされ、会社を乗っ取られる可能性もあります。

今後、お金を借りる際は持ち株比率は気をつけようと思います。

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