助成金で最も人気の高い助成金が「キャリアアップ助成金」で、人気の理由が何といっても他の助成金と比べて手続きが少ないという点や、受給額が大きいという点があげられます。

しかし、実際にキャリアアップ助成金のパンフレットを読んでもわかりずらく、申請せずに挫折してしまう方も多いのも事実です。

貰えるお金を貰わないのはもったいない!ということで、キャリアアップ助成金を受給するまでの流れを、実際に10回以上携わった経験者が注意すべき点も踏まえて図解していきます。

一人でも、助成金を有効活用して貰えればと思います。

キャリアアップ助成金の申請の前に知って欲しい平成30年4月1日より追加された条件とは

青空と2018年と書かれた看板

キャリアアップ助成金は例年大変人気の助成金ですが、平成30年4月1日以降の正社員へ転換した場合、支給要件が2つ増えました。

1.給与を5%以上増額する

今までは正社員に転換した場合も、給与をあげる必要はなかったのですが、平成30年4月1日以降の正社員への転換は、給与を5%も引き上げる必要があります。

支給申請の際に、転換前6ヶ月と転換後6ヶ月の賃金台帳の提出が求められるので、そのタイミングでチェックされます。

賃金を5%アップするということは、基本給が30万円の場合1.5万円増えることになり、1年で18万円、約4年でキャリアアップ助成金の受給額を超えてしまうため、非常に厳しい要件が追加されました。

2.雇用期間3年以内

長年働いている方は助成金の対象外となり、アルバイトの雇用期間も含まれます。

有期契約を複数年行い、その後正社員の転換を考えている方は、3年という条件が追加されたので、キャリアアップ助成金を受給したいのであれば、必ず3年以内に正社員の転換を行いましょう。

キャリアアップ助成金正社員化コースの計画書の作成・正社員への転換までの流れ

雇用契約書

それでは、キャリアアップ助成金を受給するまでの全情報をお伝えします。

下記の流れの通りに進めていきます。

1.「キャリアアップ計画書」の提出と就業規則に制度導入

キャリアアップ助成金の最初のステップは下記3つの作業を行なってください。

「キャリアアップ計画書」の作成

「キャリアアップ計画書」は厚生労働省の「申請様式のダウンロード」からダウンロードしましょう。

具体的な記入例は下記の通りです。

キャリアアップ助成金様式第1号(表紙) キャリアアップ助成金様式第1号(共通) キャリアアップ助成金様式第1号(計画)

特別難しいことはなく、上記通りに記入すれば問題ありません。

キャリアアップ計画書が完成でき次第、管轄のハローワーク(公共職業安定所)へ提出しましょう。

また、提出すると約2週間後に「キャリアアップ計画書」に労働局のハンコが押された書類が事業所へ届きます。

この書類は支給申請時に必要になりますので、無くさないようにしましょう。

就業規則に制度を導入する

キャリアアップ計画書の作成と同時に、正社員転換を実施している旨を就業規則に記載する必要があります。

「就業規則なんて作ってないよ!」という方は早急に作成しましょう。

厚生労働省が出している「 モデル就業規則」があるので、こちらを参考にして作成しましょう。

そして、この作成したモデル就業規則に、正社員転換を行なっている旨を記載します。

記載例は下記の通りです。

第○条(正規雇用への転換)
勤続○年以上の者又は有期実習型訓練修了者で、本人が希望する場合は、正規雇用に転換させることがある。
2 転換時期は、原則毎月1日とする。ただし、所属長が許可した場合はこの限りではない。
3 人事評価結果としてc以上の評価を得ている者又は所属長の推薦がある者に対し、面接及び筆記試験を実施し、合格した場合について転換することとする。

上記はあくまで例なので、会社で条件については話し合って決めてください。

また、就業規則は従業員が10人未満の場合は労働基準監督署への提出は不要ですが、労働基準監督署への提出していない場合は支給申請時に「就業規則の申立書」が就業規則と合わせて必要になります。

「就業規則の申立書」は、全従業員の署名捺印が必要な書類で非常に面倒な書類なので、従業員が10人未満でも助成金を申請する場合は就業規則を労働基準監督署へ提出しておきましょう。

有期雇用としての労働条件通知書あるいは雇用契約書を作成する

申請の提出には不要なのですが、支給申請時には必要なので必ず作成しておきましょう。

実際作成していない企業は多いので、キャリアアップ助成金では必要な書類なので作成しておきましょう。

2.キャリアアップ計画期間に正社員の転換を行う

「キャリアアップ計画書」の提出が完了したら、次は正社員への転換を行いましょう。

正社員への転換といっても、やることは大きく2つだけです。

1つ目に関しては、就業規則に「面接をする」と記載したのであれば面接を行い、「筆記テストをする」と記載したのであれば筆記テストを実施すれば問題ありません。

2つ目に関しては、正社員へ転換したことがわかるように、正社員としての労働条件通知書あるいは雇用契約書を作成する必要があります。

労働条件通知書あるいは雇用契約書は支給申請時に必要なので、必ず作成するようにしましょう。

正社員へ転換する際に気をつけるべき点は下記の2点です。

キャリアアップ計画期間に転換する

「キャリアアップ計画書」に「キャリアアップ計画期間」を記載する項目があります。

キャリアアップ助成金の支給を受けるには、この期間内に正社員への転換を図らなければ助成金の対象となりません。

キャリアアップ計画期間は、キャリアアップ計画書を提出した日以降に設定できるので、提出日を開始日にしておきましょう。

なお、キャリアアップ計画期間の最長は5年なので、終了日は5年で設定しておきましょう。

就業規則に定めた日付に転換する

「キャリアアップ計画書」の作成の段階で、就業規則に正社員転換を行う旨を記載するとありますが、就業規則に記載する項目で"大まかな転換時期"を記入する必要があります。

そして、この"大まかな転換時期"に正社員への転換を行わないと、不支給になる場合があります。

例えば、「原則毎月1日に転換する」と記載したのであれば、1日に転換を行ったほうが賢明でしょう。

万が一に備えて、余計な心配は排除すべきなので、就業規則に定めた日付で転換を行うようにしましょう。

正規雇用の労働条件通知書あるいは雇用契約書を作成する

正社員へ転換したら、当然ですが正社員としての労働条件通知書あるいは雇用契約書を作成しましょう。

正社員の労働条件通知書あるいは雇用契約書も支給申請時に必要になりますので、準備をしておきましょう。

3.正社員転換後、6か月分支給した日の翌日から起算して2ヶ月以内に支給申請

最後に支給申請を行いますが、キャリアアップ助成金で最も重要なのが支給申請です。

多くの方が、このタイミングで不支給となるので、十分注意をして作成を行いましょう。

https://nakazawakan.com/career-up-grant-application-request

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