【2019年版】シンガポール永住権(PR)を取得する4つの方法とメリット・デメリットまとめ
2019.07.27
「日本の税金が高すぎる!最高税率が低いシンガポールに住みたい!」
こんにちは、旅んちゅうプログラマー 兼 映像クリエイターの中澤です。
日本で事業をやっていると、つくづく法人税が高いことに憤りを感じます。仮に所得が4,000万円を越えると、所得税が45%、住民税が10%かかるため、最終的に55%ものお金が税金として納める必要があります。
そこで他の国の所得税を調べてみると、どうやらシンガポールの所得税が最高20%で、かつ住民税がないとのこと、「是非、シンガポールに住みたい!!!」ということで、実際にシンガポールで住むための「永住権(PR)」について調べてみることにしました。
前述しておくと、シンガポールの永住権の取得条件はケースバイケースのことが多いため、参考程度という認識を持ちましょう。
実は永住権を取らなくても長期滞在ができる?
シンガポールのビザには大きく6種類のビザがあります。
- 観光ビザ
- 長期滞在ビザ(LTSVP)
- 労働ビザ
- ワークホリデーパス
- 学生ビザ(ステューデントパス)
- 永住権(PR)
上記6つがビザの種類です。
観光ビザで1年以上滞在できる?
小旅行などで簡単に申請できるのが「観光ビザ」であり、なんと観光ビザでもe-XTENDオンラインサービスから延長申請をすれば、最大60日(入院などの特別な理由があれば89日)まで滞在が可能です。
さらに合法的な裏技として、マレーシアのジョホールバルにバスで旅行し、シンガポールに再入国することで新しく観光ビザを発行してもらうというループで永続的にシンガポールに滞在することも可能です。
ただし、再入国を何度もすると怪しまれるので、あまりお勧めはしません。
シンガポールで永住権(PR)を取得する4つの方法
それでは本題のシンガポールの「永住権(PR)」の取得方法について、4つの方法をご紹介します。
- シンガポール人もしくはシンガポールPR保持者の配偶者または21歳以下の子ども
- シンガポール人の高齢の両親
- 労働ビザ保持者(EP又はS Pass)
- 投資家(GIP)
永住権を取得する方法で最も数が多いのが「シンガポール人配偶者」の申請で、次に数が多いのが労働ビザです。
上記4つについて、1つずつ細かく見ていきます。
シンガポール人もしくはシンガポールPR保持者の配偶者または21歳以下の子ども・シンガポール人の高齢の両親
シンガポール人と関係のある方に発行される永住権ですが、これは申請者よりもシンガポール人が判断されるケースが多いです。
永住権を取得するための結婚詐欺などが非常に多いので、シンガポール人が信用できる人間かどうかが判断材料として大きく反映します。
申請に必要な書類は下記の通りです。
- 所定の申請フォーム
- パスポート
- 出生証明書
- 卒業証明書
労働ビザ保持者(EP又はS Pass)
こちらも、雇う側の経営状況が審査に大きく反映します。
近年、審査が非常に厳しくなっており、過去に労働ビザを取得経験があったり、高額な給与を貰っている方でも申請を却下されるケースは多々あります。
特に日本から税金を抑えるために、FXや不動産で収入を得ている人がシンガポールの永住権を取得したいという要望が多いそうですが、審査はかなり厳しいです。そうです。
基本的な認識として、シンガポール移住は”シンガポール政府”にとって必要な人が認められるものであるため、所得が少ない方(数百万円〜数千万円)の税金逃れは審査で弾かれるケースがほとんどです。
僕も”億”の稼ぎはないので厳しそうです。
申請書類は下記の通りです。
- 所定の申請フォーム
- パスポート
- 出生証明書
- 卒業証明書
- 労働ビザカード
- 申請をしてくれている雇い主からのレター(勤務開始日、給与の詳細等)
- 申請前過去半年の給与明細
- 申請前過去3年分の納税通知書
投資家(GIP)
最も困難な方法が投資家(GIP)としてシンガポールの永住権を取得する方法です。
通常、ビザや永住権の申請は「出入国管理局」という機関に申請するのですが、投資家として永住権を申請する場合のみ、「シンガポール経済開発省(Singapore Economic Development Board)」に申請します。
申請はまず2つのオプションのいずれかを申請する必要があります。
【オプション A】
最低投資金額 S$2.5ミリオン(日本円約2億程度)をシンガポールで新たに始める事業、あるいは既存の事業のシンガポールでの拡大のために投資する。
【オプション B】
最低投資金額 S$2.5ミリオンをGIPが定めたシンガポールにベースを置くファンドに投資する。
上記いずれかの条件を満たし、さらに下記の条件を満たす必要があります。
- 企業家としての経験が3年以上あること。(3年間の会社の財務諸表の提出)
- 現在経営している会社の直近の売上高が年間S$50ミリオン(日本円約40億円)以上あること。また、3年間の平均がS$50ミリオンを上回ること。
- 現在経営している会社が不動産業あるいは建設業関連の場合は、直近の売上がS$200ミリオン以上であること。また、3年間の平均がS$200ミリオンを上回ること。
- 会社の株式全体の30%以上を保有していること。
最低投資額が約2億円、直近の売上高が年間約4億円、3年間の平均が約40億円を上回るという、超ハイレベルな条件ですので、投資家として申請するのはほとんど難しいです。
さらに、申請してから手続き完了までおおよそ1年かかることも理解しておきましょう。
下記が申請の基本的な流れです。
- 申請書類一式をオンラインにて
- CISによる申請者の面談。
- シンガポール移民局(ICA)からアプルーバル・イン・プリンシパル(AIP)が発行される。
- 選んだオプションに必要な投資を完了させる。
- 投資が終了した時点で、株券や不動産権利書などの書類をコンタクトに提出。投資物件は最低5年間保有。(投資物件から生じた利益は引き出し可能)
- ICAから許可書が発行される。
- 手続き完了
2017年6月までの間に1,826人もの投資家に付与されています。
シンガポールの永住権取得に関わる重要な指標
シンガポールの立場に立つと分かりますが、「シンガポール国にとって必要な人材かどうか」という点が重要であり、主な指標は下記の8つです。
- 収入
- 年齢
- 学歴、資格
- 職業
シンガポールは日本のように高齢化社会が進んでいるため、できる限り若い人材を求めています。
また、高齢化社会に備えて医療の充実を図っているシンガポールにとって、医者の需要は強いそうです。
とにかく、レベルの高い人材を求めているということだけ認識しておきましょう。
シンガポールで永住権を取得するメリット
シンガポールの最高税率は20%と非常に低いですが、それ以外にもいくつかのメリットがあります。
- HBD(公営団地)の購入可
- 美術館・博物館などの国営施設が無料
- 所得20%(CPFの支払い)が非課税
HBD(公営団地)の購入可
シンガポールは東京23区と同じほど小さな面積なので、非常に土地の値段が高騰しています。
そのため、普通の土地を購入することが難しいのですが、永住権を取得すると国が運営するHBD(公営団地)が購入可能になります。
美術館・博物館などの国営施設が無料
シンガポール人及びシンガポール永住権保有者は、国営施設に無料あるいは格安で入場することができます。
所得20%(CPFの支払い)が非課税
CPFの説明は後述しますが、端的にいうと自分の将来への積立費用が非課税になるという制度です。
日本で言えば「iDeco(個人型確定拠出年金)」のようなイメージです。
CPFへの積立には金利がつくのですが、シンガポールでは金融商品の利益は非課税なので、当然CPFも非課税です。
ますますiDecoみたいですね。
シンガポールで永住権を取得することによるデメリット
当然、デメリットもあります。
- CPFへの強制加入
- 徴兵制度の義務
CPFへの強制加入
CPFとは日本でいう社会保険や住民税に変わるもので、将来への積立金です。
シンガポールではCPFへの加入が義務付けられており、毎月給与に対して20%の積立が義務付けられています。(雇用者は給与の17%)
日本の年金は「賦課方式」のため、自分の積立のほとんどは現在の年金受給者に支払われるのに対し、シンガポールのCPFは自分自身への積立になります。
CPFには最低2.5%の金利が発生し、確かに日本の金利(0.001%)と比べると非常に優秀なのですが、年2.5%しか増えないと考えると、非常に小さな金額なので、デメリットとしました。
CPFは原則55歳から受け取りが始まりますが、住宅の購入費用、医療費用などの支払いに対しては55歳にならなくても使用することができます。
また、永住権を取り消した場合、全額払い戻すことができます。
徴兵制度の義務
シンガポールでは、シンガポール人又はシンガポール永住権保有者の男子には徴兵制度の義務が課せされています。
徴兵制度を拒否することも可能ですが、拒否した場合、今後生涯「シンガポール国民」及び「永住権」が認められることはありません。
徴兵制度は毎年最大40日間、40歳まで行われます。
なお、永住権の中でも、労働ビザの保持者(EP 又は S Pass)及び投資家の男性は徴兵制度が免除されます。
永住権は5年に1度の更新(REP:リエントリーパーミット)が必要
永住権は一生住める権利ではなく、5年に1度の更新(REP)が必要になります。
5年毎の更新の際に、当然却下されることもあります。
却下される理由の例としては、配偶者として申請したのに離婚したケースや、労働ビザで入国したのに退職した、また投資家として永住権を取得したのにほとんど活動できなかったなど、「永住権の条件から外れた」という理由がほとんどです。
永住権の申請は年々厳しくなっている
現在、シンガポールの人口の3割以上は外国人という現状になっており、政府は徐々に外国人の受け入れ数を制限し始めています。
そのため、上記の条件はあくまで目安であり、上記条件に満たしている場合でも申請が拒否されることが多々あります。
さらに、申請してから受理されるまでおおよそ1年〜3年かかることもあります。
申請を検討している方は、早めに審査をしてもらう手続きを踏みましょう。