国民健康保険料を確実安くするための6つの保険料節約方法

よくわからずに支払っているランキングベスト3位に必ず入るのが「国民健康保険料」だと思います。

所得が高い方で、月々80,000円程度払っている方もいます。

「高すぎるやろ!」と思っている方、実はちゃんと制度を理解すれば節約できるできるんです。

今までの経験上、なんと年間20万円も安くなる方がいました。

そんな国民健康保険に関して、基本的な知識、そして国民健康保険料の10の節約方法についてお伝えします。

1.健康保険とは

世界的有名な健康保険とは、生活を守るための保険制度の1つで、病気やケガでの出費に対して自己負担額が軽減される、または出産時に支払われる制度です。有名な制度は、『出産育児一時金』、『傷病手当』、『高額療養費制度』が挙げられます。

健康保険は主に『健康保険(社会保険)』と『国民健康保険』に分けられます。

1-1.健康保険(社会保険)

会社員が入る健康保険で、基本的には労使折半です。健康保険も2種類に分けられます。

1-1-1.協会けんぽ(全国健康保険協会)

全国健康保険協会が運営しており、一般に企業が加入している社保は、こちらの方で約168万社が加入しています。保険料は都道府県別に定められています。

都道府県別健康保険料額表(出典:全国健康保険協会)

1-1-2.健康保険組合(組合管掌健康保険)

こちらは大企業が独自で健保組合を設立したもので、独自で保険料が決められます。また、複数の会社が共同で設立することも可能です。
※ただし、その場合常時3,000人以上が必要となります。

付加給付制度

組合健保の最大の特徴として、この付加給付制度が挙げられます。『一部負担金払戻金』『療養費付加金』とも呼ばれます

1ヵ月の医療費の自己負担限度額を決めておき、限度額を超過した費用を払い戻す制度です。付加給付制度は、健康保険の被保険者だけではなく、扶養家族(被扶養者)も対象になります。

自己負担限度額は25,000円で、なので、高額療養費制度よりかなりお得な制度となっております。

1-2.国民健康保険

自営業の方が入る健康保険で、全て自己負担になります。

また、国民健康保険料の『均等割』部分に関しては、家族分も払わなければなるため、退職後に健康保険料が高く感じるのはこのためです。

1-2-1.市区町村

国民健康組合と比べ、所得によって大きく保険料が異なるため、所得が低い場合には国民健康保険組合よりお得になる場合があります。

1-2-2.国民健康組合

全国で164の国民健康組合があり、加入条件はそれぞれの組合ごとによって異なります。主な業種は「建設」32組合、「一般」39組合、「三師」92組合、「全国土木」1組合で、「三師」は「医師」「歯科医師」「薬剤師」を指します。
この中の「一般」は下記URLからご覧ください。

一般業種国民健康保険組合へのリンク(出典:一般社団法人 全国国民健康保険組合協会)

市区町村と比べ所得による差が少ないため、高所得者になった場合はこちらの方がお得なケースがあります。

2.健康保険の6の節約方法

それでは、健康保険の6の節約方法をお伝えします。

2-1.健康保険の任意継続

会社を退職するタイミングで、『健康保険(社会保険)』か『国民健康保険』を選べることができます。ただし、資格喪失日から「20日以内」に継続申請しなければいけません。

実際にシミュレーションしてみましょう。
※健康保険は(社会保険)は労使折半ですが、任意継続は全額自己負担となります。
※協会けんぽ(全国健康保険協会)の保険料で計算します。

月給35万円、賞与50万円(年2回)、本人(35)、妻(32)、子(4)、子(2)、東京都在住

任意継続(健康保険)の場合

428,112円(東京都:9.91%)
健康保険・厚生年金保険の保険料額表(出典:全国健康保険協会)

国民健康保険の場合

520万円(総所得金額等)-33万円(基礎控除)=487万円(課税総所得金額)
この課税総所得金額がもとに計算を行います。

所得割額 均等割額
医療給付費分 258,110円
(5.3%)
112,000円
(28,000円/人)
後期高齢者支援金分 87,660円
(1.8%)
44,000円
(11,000円/人)
介護納付金分 0円
(1.6%)
0円

※介護納付金分は、40歳から64歳までの介護保険2号該当者の対象がないため。

計:501,770円

差額として、73,658円の差となりました。任意継続を選択するだけで、年間これだけのメリットになります。

2-2.倒産などにより解雇された場合、健康保険料約7割減

国民健康保険の場合、平成22年4月より、会社都合の解雇、特定受給資格者、特定理由離職者については、保険料が前年の給与所得を30/100として保険料が計算されます。約7割保険料が減額されるということです。

※ただし、均等・世帯・資産割額については減額されません。

任意継続の方が保険料自体は安くなる傾向があるのですが、この制度を活用する場合は確実に国民健康保険の方が安くなります。上記ので計算した場合、国民健康保険料が259,731円となります。

申請の流れとしては、『雇用保険受給資格者証』を持って役場で手続きをしてください。『雇用保険受給資格者証』は職安で失業保険の手続きをするともらえる証明書です。

2-3.4月~6月の残業を抑える

健康保険料は毎年4月、5月、6月の標準報酬月額に一定の保険料率をかけて算出されます。標準報酬月額に含まれるものとしては、毎月固定の賃金(基本給、家族手当、住宅手当、通勤手当)、また月ごとに変動する賃金(残業手当、宿直手当)が含まれます。

つまり、健康保険料を下げる一番簡単な方法は、標準報酬月額を下げる、という点がポイントとなっていきます。下げる一番現実的な対策が、残業代をなくすことになります。

下記が、実際に標準報酬月額が変わるとどれくらい月々が出費が安くなるかの表です。

標準報酬月額 健康保険料
310,000円~330,000円未満 15,856円
330,000円~350,000円未満 16,847円
350,000円~370,000円未満 17,838円
370,000円~395,000円未満 18,829円
395,000円~425,000円未満 20,315.5円

※上記の健康保険料は、労使折半された金額です。

6.5万円変わってくるだけで、毎月の額が4,459.5円も変わってくるのです。年間にすると53,514円の違いが生まれます。4月、5月、6月だけ注意して働きましょう。

2-4.保険料減額申請

失業して無職になった場合などで収入が下がった場合、健康保険料の減額申請が行えます。主に、市区町村の条例で決められている減免制度があります。

東京都八王子市の軽減措置として、世帯年間所得が33万円以下の場合は7割減、世帯年間所得が被保険者×27万円+33万円以下の場合は5割減、世帯年間取得が被保険者数×49万円+33万円の場合は2割軽減となります。

軽減率 世帯年間所得合計
7割減 330,000円
5割減 被保険者数及び特定同一世帯所属者数×270,000円+330,000円
2割減 被保険者数及び特定同一世帯所属者数×490,000円+330,000円

※特定同一世帯所属者とは
国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行したことで被保険者の資格を喪失した方で、資格喪失後も同一の世帯に属する方。

2-5.青色申告をする

こちらは事業主しか行えない対策ですが、青色申告で確定申告を行うと、健康保険料を下げることができます。

青色申告を行うと受けられる『青色申告特別控除』がありますが、これは国民健康保険の所得から差し引くことが可能な控除なので、10万円、あるいは65万円の控除が行えます。ただし、青色申告はかなり手間になるので、それも踏まえて行うかどうか考えましょう。

さらに、青色申告の場合、青色専従者給与を配偶者や子どもに支払うことで、払った分の保険料は所得から差し引くことができます。

2-6.複数の世帯を一本化する

国民健康保険の場合、均等割部分があるので人数が多ければ多いほど払う金額が増えてしまいます。そこで、親世帯、子世帯で別々の世帯にしている場合は、あえて一緒の世帯にすることで、均等割部分の余計は支払いをなくすことができます。

まとめ

よくわからずに払っている健康保険ですが、実は色々な方法で、かなり簡単に節約することが可能です。

ただ、手続きが複雑であったり、上記の説明で理解が難しい箇所があるので、ファイナンシャルプランナーと一緒にすすめた方がよさそうです。

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