労使協定とは?残業・休日・深夜に働く場合に気を付けるべき点
2018.03.16
「残業代を払えば残業をさせてもいいんでしょ」と思われている経営者は非常に危険です。労働基準法を超える労働を課す場合、必ず労使協定の締結が必要になります。
そんな労使協定に関して、基本的に労使協定の意味合い、必要なケース、締結方法をお伝えします。
1.労使協定とは
労使協定の役割は、法定義務の免除や免罰としての役割があり、法廷時間を超えて従業員を働かせる場合には従業員と締結する必要があります。
労働協約や就業規則と異なり、労使協定単独では労働契約を規律する効力(模範的効力)がないため、労使協定と合わせて労働協約・就業規則の作成が必要になります。
2.労使協定の必要なケース
労使協定が必要な主なケースをご紹介します。
36協定
労使協定について調べる方のほとんどは、この36協定が関係しているのではないでしょうか。
36協定とは、法定労働時間を超える残業、あるいは休日労働、深夜業が行わる場合に提出義務が発生し、労働基準法の範囲を超えて働いてもらうことができます。
正式名称は「時間外労働・休日労働に関する協定書」と呼び、労働基準法第36条が元となっているため、36協定と呼ばれるようになりました。
2-1.フレックスタイム制
働き方が変化していき、出退勤の時間を従業員がそれぞれ自由に決めることができる制度で、従業員も時間を自由に決められることから、モチベーションアップにつながるとされています。
フレックスタイム制は『コアタイム』と『フレキシブルタイム』の2種類に分けられます。
コアタイム | 必ず勤務すべき時間 |
---|---|
フレキシブルタイム | 出退勤を自由に決められる時間 |
2-2.変形労働時間制
業種によっては、繁忙期と閑散期が年の中で大きく異なるケースがあります。
そのようなケースに有効活用できるの『』変形労働時間制で、あらかじめ
2-3.みなし労働時間制
営業の会社に多いが、毎日一定の残業が発生する場合に活用できる制度が『みなし労働時間制』で、毎月の給与にあらかじめ残業代を組み込む方法です。
残業代の計算が楽になるとともに、従業員は残業代があらかじめ受け取れることが分かっているため、早く退社しようと生産性が上がったケースも見受けられます。
3.労使協定の締結方法
労使協定の締結には、「労働者代表」と「会社の代表」が書面による合意が必要となります。
主な流れは下記の通りです。
- 原案を作成
- 届出書に労働者代表の署名又は記名押印
- 労働基準家督所に提出
基本的には注意点は「労働者代表の選定方法」です。
労働者代表とは
労働基準法では「労働者の過半数を代表する者」と記載されており、選出方法に関しては下記のとおりです。
一 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
二 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。
労働基準法第41条第2号とは、『管理監督者』を差し、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」と定められています。
上記を簡単に言うと、「従業員の立場に立って考えられる人間」を選出してください、ということです。
間違った労働者代表の選出方法は下記の通りです。
経営者が一方的に決めた場合 |
特定の役職者のみで決めた場合 |
従業員の意見を聞かずに勝手に決められていた場合 |
管理職手当等を受けている人 |
4.労使協定の罰則
労使協定の届出範囲を超えた場合、罰則が発生します。
超えた内容にもよりますが、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」などがあげられます。
5.労使協定まとめ
- 労使協定では法定義務の免除や免罰効果がある
- 法定労働時間を超える場合、休日労働を課す場合、深夜業が発生する場合は作成する
- 労働者代表の選出方法には気を付ける