成長幅=「指導者の期待値」と「本人の期待値」の最小値
2018.03.07
スポーツを辞めてから「老けたね」とよく言われる中澤です。
さて、今回は「人の成長」についてお話ししたいと思います。
僕自身、現在事業をやる傍ら、指導者という側面も持っています。教える立場が多いのですが、その中で気づいたことが、人の成長のために重要なポイントは、「指導者の期待値」と「本人の思い」です。
「人の成長」について考え始めたきっかけ
僕は大学でラクロスというスポーツに取り組んでおり、世代別日本代表に選出されたり、フル代表メンバーとして国際親善試合に出場したりしていました。
自分の大学も、入部当初は3部リーグと2部リーグを行き来しているチームを、卒業するころには1部リーグまで上げることができ、ラクロスというスポーツに対しても、教えるということに対しても自信がありました。
そのため、大学卒業後に独立して事業を行っていた時に、ある大学から声がかかり、指導者の依頼を受けたので自信を持って引き受けました。
指導者として全くの成果が出ない日々
当然、過去の3部から1部に上げた実績があったので、自身を持ってコーチをやっていたのですが、蓋を開けてみたら結果は散々でした。
大学 | 2015年 | 2016年 |
---|---|---|
F大学 | リーグ残留 | リーグ残留 |
S大学 | リーグ残留 | – |
N大学 | – | リーグ降格 |
全く成果が出ず、またコーチとして就任年度に降格という最悪の結果を出してしまいました。
その時に、「なんで成長させてあげられないんだろ」という疑問を持つようになり、選手にアンケートを出してみました。
「できないと決めつけている」
無記名で取った選手へのアンケートで、一番自分が深く反省したのが、「できないと決めつけている点」という一文でした。
自分の指導方針は「長所進展法」であり、能力的にも時間的にもできないところ、苦手なところはある程度捨てて、得意なところを徹底的に伸ばそうという考えでした。
そのため、「できない人にはできない」とある程度本人にも言うようにはしていました。
これが選手の成長を止めている原因なんだとわかりました。そのわかりやすい例が「非行少年がスポーツで結果を出す」というドキュメンタリー番組です。
指導者は子供を信じ続けている
非行少年が高校で部活動をはじめ、大きな結果を出すというドキュメンタリー番組が時々テレビで放送されていると思います。
その中で、熱血教師が行っていることはただ一つで、「非行少年たちが”できる”と信じ続けている」ことだと思います。
特別な技術ではなく、人の可能性を本気で信じることです。
そこに、「自分でもできる」と錯覚を起こさせ、いつの間にかその状態になっていた、というのが本質だと思います。
指導者の期待値が選手の伸び幅
かなり抽象的な話ですが、教わる側の成長幅は指導者の期待値なんだなと認識するようになり、本人が希望を持ち続ける限りは最後まで信じるということを肝に銘じて接するようにしました。
本人の思い
もう一つ人の成長で重要な点が、本人の思いで、本人の思いとは「目標×熱量」です。
本人の目標
周りがどんなに期待したところで、その人自身が望む範囲でしか成長はしないです。
例えば、大学の野球サークル活動をしている人に、名将・小倉監督(日大三校という高校野球の超強豪校の監督)が指導をしたらどうでしょうか。きっと「暑苦しすぎんだよ」となるだけだと思います。
目標というのは、高ければ高いほど険しくて当然です。しんどいんです。
そのため、望んでいない目標で指導者が接しても、本人はしんどくなるだけで、成長は全くしません。いい悪いではなく、努力の方向性が違うんだと思います。
なので、本人の目標範囲でしか成長は絶対ありません。
本人の熱量
それと同時に、本人が望んだところで行動が伴っていない場合も成長はないです。
どんなに高い志を掲げようが、そのために何もしていなければ成長はありえません。
言葉ではなく、行動で見ることが本質を見抜くコツtだと思います。
人の限界はその人の記憶
誰の言葉か知りませんが、僕が最も大切にしている言葉です。指導者としても、事業を行うにしても。
ほとんどの場合、記憶の中で目標設定をします。ようは積み上げ式です。
今までこれくらいできたから、将来はこれくらいになるんだ、と。
ノミの話と象の話が有名ですね。
ノミの話
ノミは100cmほど高く飛ぶのだが、高さ50cmの箱に入れると、箱から出しても50cmほどしか飛ばなくなる。
それは、ノミの頭の中で「僕は50cmしか飛べないんだ」と記憶ができるからです。
象の話も同様です。
指導者は期待し、本人は限界を作らず自分に期待する。
これが、人を成長させるために最も重要なことだと思います。