起業して失敗しないためには過去の事例から学べ!起業家100人からわかった起業失敗例9選
2018.12.14
失敗の多くは、成功するまでに あきらめてしまうところに、 原因があるように思われる。 最後の最後まで、 あきらめてはいけないのである。
経営の神様といわれるパナソニック創業者・松下幸之助氏の有名な名言ですが、この名言で重要な点は「起業して成功するためには成功するまで続けること」ということです。
起業したら誰もが成功したいと思い、多くの方は「成功するためには」という本を読むのですが、実は成功するために最も重要なことは失敗しないことであり、失敗しない方法を学ぶことが結果として成功に最も近づく方法なのです。
そこで、今回は起業して失敗しないために、実際に起業してしっぱいした経営者3選と、起業家100人にお会いしてわかった起業時の失敗例9選をご紹介したいと思います。
起業する際に、失敗しないための一つに指標になればなと思います。
起業して失敗した経営者3選
まずは起業して失敗した経営者を3人ご紹介し、失敗した理由もあわせてまとめてみました。
川原ひろし氏/株式会社なんでんかんでんフーズ
1990年代に博多とんこつブームを巻き起こした火付け役の川原ひろし氏は、最高時に年商約6億円、店舗数もフランチャイズなどを含めると10店舗まで展開したが、2012年には全店舗閉店となりました。
倒産はしていないが、ラーメン事業は事実上失敗となりました。
失敗した理由は「事業拡大に人の成長が追い付かなかった」
- ラーメン店舗の拡大に行き急いだ
- 時代の流れについていけなかった
失敗の理由は大きく「人の成長」と「時代の流れ」の2つです。
なんでんかんでんは当時、本店だけで年商3億円もの売り上げがありとても順調でした。しかし、当時流行っていた「マネーの虎」等でテレビ出演をしたことがきっかけで、全国から50件以上のフランチャイズの依頼が殺到し、勢いもあって店舗を一気に拡大したのですが、これが大きく裏目に出てしまいました。
「他店舗展開を一気に出し急いだせいか、店舗ごとに味が違ったり、加盟者との意思の疎通がうまくいかずでした。」(川原氏)
【引用】NEWSポストセブン
お金もモノもあるがゆえに、お店だけを沢山増やしてしまい、最も重要な人の成長が追い付かず、管理しきれなくなってしまったのです。
また、立地条件が車でしか行くことができない場所に構えていたため、若者の車離れ、駐車規制や飲酒の取り締まりが厳しくなっていったことから、来客数が激減してしまい、「時代についていけなくなった」のも大きな原因です。
「もっと早く時代の流れについていけばよかったんですが、それでも、まだ大丈夫だと、創業の地に未練があって、客足が減っても動かなかったんです。」(川原氏)
【引用】NEWSポストセブン
堀之内九一郎氏/株式会社生活創庫
次にご紹介する起業して失敗して経営者は、ホームレスからリサイクルで年商100億円まで上り詰めたことで有名な堀之内九一郎氏です。
なんでんかんでんの川原氏と同様にマネーの虎に出演し、ホームレス社長として一気に有名になりましたが、リサイクルショップは2013年に倒産して事業譲渡し、15億円を超える負債を背負い失敗に終わっています。
失敗した理由は「時代遅れの事業拡大」
- 時代の流れについていけなかった
- 在庫を抱えすぎた
今でこそリサイクルは当たり前の時代ですが、当時はリサイクルという概念はなく、画期的な発想として全国に一気にチェーン展開していきました。
しかし、yahooオークションなどの個人間でのリサイクルサービスが誕生し、またリアル店舗でもリサイクルショップが増えたことで競争が激化し、堀之内氏が行っていた全国に店舗を構え在庫を大量に抱えるビジネスモデルがは時代遅れとなり、2回の不渡り(銀行への返済が滞ること)によって倒産となりました。
とにかく堅実に経営を進め、マネーの虎でも確実に採算が採れる事業にしか興味を示さなかったのですが、それが仇となりインターネットという時代の流れに乗れずに失敗に終わりました。
岩橋孝行氏/出萌株式会社
3人目にご紹介するのが、2018年12月に破産手続きを行ったのが「ピーナッツもやし」という商品の販売を行っていた岩橋孝行氏です。
ピーナッツもやしのみならず、地元産のタマネギ、キャベツ、トマトなどを販売し、さらにカフェレストラン等もオープンし、2018年3月期には売上高32億円を超える数字を出したが、不正会計が発覚し、借金返済不可となり銀行が支援継続を断念して破産となりました。
失敗の理由は「事業拡大の判断ミス」
- 設備投資に採算が採れなかった
事業拡大に伴い、全国に工場を5つ以上開設したが、設備投資に対して採算が合わなかったそうで、資金繰りが悪化しました。
3人の経営者の失敗は大きく下記2点
- 人の成長が追い付かない
- 時代の流れについていけない
起業して失敗した3人に通じる要素は、「人・モノ・カネ」の順番が疎かになってしまっていた点だと思います。
3社とも、モノもカネも持っていたと思いますが、経営で最も重要な人の成長が事業拡大に追いつかずにボロが出てしまったように見受けられます。
人が重要、ということについて、全国で店舗展開を進めている中華料理のチェーン店最大手・餃子の王将の元代表取締役・大東隆行氏は次のように語っています。
膨張じゃなくて、成長。人が育ってから店を出す、うち(王将)はね。自分で考えた料理も出せない者は、店長に成れない。
【引用】深イイ話
起業して最も大切にすべきは、いかにメンバーを成長させることができるか、という点に尽きると思います。
そのため、起業の準備段階で、事業拡大のタイミングを先読みし、人を育てる準備を計画しておくことが重要です。
起業の失敗例9選
次に、起業のよくある失敗例を、自分自身の起業5年生の経験と、100人以上の起業家の事例から失敗例10選にまとめてご紹介します。
友人と一緒に起業して責任の所在が不明確
友人と起業する予定の人は特に注意が必要ですが、代表を決めて責任の所在を明確にしておかないと、後々重要な意思決定が迫られた場面で仲違いが起こります。
友人と起業する場合は、どっちが代表かを、中途半端にせずちゃんと決めておきましょう。
「儲かりそう」という安易な気持ちで起業
起業家にとって最も重要なのは事業に対しての情熱です。
起業してから収入が発生するまで時間がかかるため、その間は先行きの不安と葛藤しながら自分の情熱を頼りに走り続ける必要があります。
なんとなく「儲かりそうだから」という理由だけで事業を始めてしまうと、継続することが難しく、収入になるまでの間で必ず挫折してしまいます。
安易な気持ちではなく、強烈なビジョンを固めてから起業しましょう。
ビジョンがぶれる
経営者はビジョンで人を集め、モノやサービスを売ります。
そのため、商品やサービスは時代に合わせて変化させていっても問題ないですが、根底になるビジョンを変えずに同じことを語り続けてください。ビジョンを変化させてしまうと、信用を失い、結果として一緒に働く仲間やお客さんが離れて行ってしまいます。
起業前に、しっかい自分のビジョンを明確にしてから起業しましょう。
素直さが欠けている
起業して代表取締役という箔がつくと周りからちやほやされ”勘違い”を起こし、素直さを失って失敗するケースも多いです。
代表の成長こそが会社の成長であるにも関わらず、立場によって天狗になってしまい、素直さが欠けて成長が止まってしまう人が多いです。
自分を否定する必要はないですが、年齢問わず誰からも学ぶ姿勢を忘れずに行動しつづけることが重要です。
他責思考で考える
自分に降りかかったマイナスの要因を誰かのせいにしてしまうと、その時点で自己成長は止まってしまいます。
常に自分自身の責任の矢印を向け続け、何かマイナスが起きた時には「自分が成長できるチャンスだ、ラッキー」と思うことも重要です。
作業をしているだけで仕事をしている気になる
起業すると、今まで会社の他の部門が行ってくれた雑務などを全て自分で行う必要があるため、細かい事務作業が極端に増えます。
お金にならない作業をしている自分に酔ってしまい、「仕事してる俺」と仕事してる気になってしまうと非常に危険ですので注意しましょう。
やらなくていいことにこだわる
起業とは全て自分のものなので、名刺のデザインやウェブサイトなどにこだわりすぎてしまう人も多いです。
起業直後は信用も何もない状態でビジョンだけで戦うことになるので、名刺やウェブサイトにこだわりすぎて時間やお金を使うのはもったいないです。
起業時はとにかくやることが多いので、やらなくていいことやこだわらなくていいことは徹底的に排除しましょう。
自分を過大評価して無理な計画を立てる
起業したてで計画を立てると、どうしても気分が高揚しているため「自分なら気合と根性でなんとかなる」と過大評価してしまい、無茶な計画を立ててしまい失敗につながることがあります。
自分自身は常に過小評価し、計画は悲観的に立てるよう心掛けてください。
資金調達してお金の使い方が雑になる
起業して資金調達しお金をたくさん持つと、金銭感覚が麻痺して無駄なお金を使ってしまう傾向になります。
起業の失敗のほとんどが資金が尽きてしまうことなので、お金の使い方には慎重になりましょう。
起業して失敗しないために重要な3つの要素
最後に、僕自身が”起業直後の僕”にどうしても伝えたい3つの重要な要素をご紹介します。
- 超選択と超集中
- お金は借りれるときに借りておく
- 決断する
超選択と超集中
起業直後は、どうしてもお金に目が行ってしまい、色々なことに興味を持ち手を出してしまいます。
ですが、起業時は時間も人もお金も限られているので、とにかく1つのことに徹底して集中投下して事業を一気に拡大させましょう。
事業に対して全てを注ぐほど振り切る覚悟をもって望まないと、絶対に中途半端な結果しか生まれません。
起業直後は、勇気をもって超選択と超集中で取り組みましょう。
自己成長する環境を作る
結果とは行動の確率論の賜物であり、行動は考え方によってうまれます。
つまり、起業して成功を収めたいのであれば、成功している人の考え方を盗む必要があります。
そのため、起業してからも自分自身が目指す経営者と一緒にいる時間をできる限り設け、自分の判断をアウトプットできる状態を作っておきましょう。
決断する
「決断」という言葉は「決」めて「絶」つを意味します。
つまり、起業すると決めたのであれば、その目標の大きさに伴って何を断つか決めておきましょう。
僕自身が、大学4年時に起業を決め、絶つと決めたものが下記の3つです。
- 卒業旅行
- スポーツ
- 遊ひ(1年)
絶つものの大きさと、成し遂げられるものの大きさは比例します。
起業するのであれば、何を成し遂げ、何を断つか決めて臨みましょう。