【神・時間術の書評・レビュー】脳のパフォーマンスを最大まで引き出すための3つの方法と、1日を最大限に活用するための3つの方法

より多くのタスクをこなし、より大きな成果を出したと思うのがビジネスマンの本望だと思いますが、圧倒的アウトプットを実行しているのが「樺沢紫苑」であり、毎日日課として7年間行っているのが下記の5項目です。

  • 毎日、午前中は執筆時間で年3冊の本を出版
  • メルマガ、youtube、facebook、ブログを毎日更新
  • 月6回の病院診療
  • 月20冊以上の読書と書評を公開
  • 月2、3回のセミナー、講演活動

これだけのアウトプット量を確保するには時間術を覚える必要があり、その時間術が「神・時間術」という本にまとめられています。

内容として科学的根拠よりも実体験をもとに時間の使い方に関して書かれた本となっております。

僕自身が実務で活用できるなと思った点を3つにまとめてご紹介したいと思います。

脳のゴールデンタイムが起床後3時間の理由

ベットの上のマックとコーヒーとお菓子

起床後3時間以内、特に30分は夜の2時間に相当するほど高い集中力を発揮する脳のゴールデンタイムですが、それを裏付けるデータとして2016年に開発された集中力を継続的に測定できる「JINESMEME(ジンズミーム)」を例として挙げています。

ジンズミームを使った500人を対象として1日の集中力を測定したところ、最も高い集中力を発揮したのが朝6~7時頃で、その後は徐々に下降していき14時が最も低く、終業時刻(17時)になるにつれて集中力が回復していくという集中力のデータになったそうです。

JINSMEMEの集中力のグラフ

また、『スタンド・バイ・ミー』、『キャリー』、『グリーンマイル』の著者であるスティーブン・キングも1日の執筆活動について次のように述べています。

私の日課は実にわかりやすい。午前中は執筆。午後は昼寝と手紙。夜は読書と家族団欒、テレビはレッドソックスの試合、どうしても後回しにできない改訂作業。というわけで、原則として、執筆は午前中ということになる。

【出典】:『書くことについて(小学館文庫)

朝の時間が最も集中力に長けて、かつ質の高いアウトプットができるということです。

脳の最高のパフォーマンスに上げるための3つの方法

男性がホワイトボードに記述している様子

パフォーマンスを高める方法として3つ紹介されています。

  • 人間の集中力を生かした「15・45・95の法則」
  • 頭の中を空っぽにして仕事に取り組む「雑念排除法」
  • 集中力は始まりと終わりに大きく発揮する「制限時間法」

1番目に関しては、集中力が続くのは「15・45・95の法則」の3つであり、実際に子供向けのアニメが15分毎にコマーシャルが挟まれる理由や、小学校の授業の1コマが45分という例を出していることから、人間の集中力の限界について話しています。

残りの2つに関しては重要なのでそれぞれご説明します。

頭の中を空っぽにして仕事に取り組む「雑念排除法」

集中状態というのは頭の中が空っぽな状態のことを指し、目の前のことにだけ取り組めている状態で、そのために必要なのが「雑念排除法」ということです。

人は常に雑念に付きまとわれている状態で、集中力を発揮するのに非効率な状態で働いており、その雑念を排除する方法として4つ紹介しています。

  • 雑念排除法1.ものによる雑念
  • 雑念排除法2.思考による雑念
  • 雑念排除法3.人による雑念
  • 雑念排除法4.通信による雑念

重要な点は、仕事場には余計な情報が入らないようにスッキリとさせ、頭の中もスッキリさせ、メールやラインの通知は切っておくということをすることが重要だと述べています。

集中力は始まりと終わりに大きく発揮する「制限時間法」

人間は始まりと終わりに高い集中力を発揮するので、その特性を有効活用する方法として「ストップウォッチ仕事術」といい、ストップウォッチで1つ1つの仕事に始まりと終わりをつけると高い集中力で仕事に取り組むことができます。

脳科学者の茂木健一郎氏も実践しているこの方法は、19世紀後半に活躍したドイツの精神科医であるエミール・クレペリンが発見したもので、作業量の変化を時間経過とともに測定した結果、開始直後が作業効率が最も高く、終了間際が次いで作業効率が高いことが判明したのです。

作業開始時を「初頭努力」といい、就業間際を「終末努力」といい、この時間を意図的に作るのがストップウォッチ仕事術になります。

朝・昼・夜を最大に生かすための時間術

カレンダーとペン

1日の時間を有効活用するための方法として、僕が有意義な情報だと感じたポイントを3つご紹介します。

太陽の光を浴びて睡眠と覚醒をコントロールする「セロトニン」を分泌させる

朝日を浴びるとセロトニンが分泌され、セロトニンこそ朝のスッキリした目覚めに非常に重要な働きをします。

セロトニンは「脳のオーケストラ指揮者」ともいわれ、脳内の状態をコントロールする働きをもち、セロトニンが活発な状態では気分も高揚し、逆にセロトニンがない状態だと気分が憂鬱になるのです。

起床直後はセロトニンがゼロに近い状態となっており、ゼロのセロトニンを分泌させる方法が太陽の光を浴びることであるため、起床直後に太陽の光を浴びることで最高のスタートが切ることができます。

作業リストを書き出して頭の中をスッキリさせる

「次何しようかな?」と考える時間が無駄であるため、あらかじめタスクを書き出すことで次に何をするか考える余計な時間がなくなり作業効率があがるということです。

雑念排除法の考えと同じですが、集中力を増すためには他のことに一切気を取られない状態を作り出すことが重要であり、そのために頭の中の不安は一切取り除いておくべきなのです。

僕自身も頭の中で色々考え始めたなと思ったらまず白紙の紙に頭の中でモヤモヤしていることをタイトルとし、どうしたら解決するかを1分以内で箇条書きにして頭の中をクリアにして仕事に取り組みます。

この1分以内の箇条書きの方法に関しては『ゼロ秒思考 頭がy得なる世界一シンプルなトレーニング』という本に具体的に書いてあるので参考にしてみてください。

仮眠を効果的に取得して生産性を34%アップさせる

仮眠の優位性については当たり前の事実ですが、実際にNASAが行った仕事効率と注意力に関する実験で、26分の仮眠を取ると仕事効率が34%向上し、注意力は54%アップしたというデータがあります。

また、交通事故が最も発生しやすいのは世界的に見て14~16時と深夜の3~4時にかけてで、この時間が最も集中力が散漫になる時間帯であり、計画的に集中力が散漫になる14~16時のタイミングで26分程度の仮眠を取ることで、集中力回復を図ることができるのです。

本書に関しての感想

冒頭でも述べたように、科学的根拠というよりは実体験ベースで話が進むので、実際に結果を出してる方がどのように時間を捻出しているかを知るにはいい本だと思います。

ただ、「朝は最高の集中力を発揮するから朝の時間を有効活用せよ!そして隙間時間も有効活用せよ」というのが本書の内容となっているので、時間の使い方が下手な人にはとてもお勧めです。

ある程度毎日の時間の使い方を考えている方には、少し物足りない本かなと思いました。

以上、「神・時間術」でした。

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