DAOの問題点・リスクについてまとめ

DAOはこれからの新しいコミュニティの形になります。

ただ、まだまだ問題点だらけだということを理解するために、DAOの問題点についてまとめてみました。

非中央集権構造による意思決定のリスク

DAOは非中央集権的な投票メカニズムによって意思決定が行われます。

いかなる取り決めも投票が必要不可欠であり、かt投票を実行してもらうためにはDAOそれぞれの要件を満たす「承認条件」をクリアする必要があります。

仮に”重大なセキュリティホール”が見つかったとしても、必ず投票が必須となります。

この意思決定の遅さによって、過去に最大級のハッキング事件「The DAOハッキング事件」が起こってしまったことがあります。

The DAOでは当初よりセキュリティホール(バグの穴)が指摘されていました。

ただ、優先順位が低く改善が一向にされず、結果として当時のレートで50億円相当のイーサリアムがハッキングされてしまいました。

この結果から、「一部の意思決定は非中央集権構造でない方が良いのでは?」と疑問を持つ声も上がっています。

国の規制に妨げられるリスク

アメリカ・ワイオミング州以外の国・地域において、DAOという形態を定義している国はほとんどありません。

有限責任なのか無限責任なのか、法律を犯した場合は誰が責任を負うのか、どの国の法律を適用するのか等、不明確な状態でDAOは進んでおります。

インドでは「インド国内の民間暗号資産の全面的禁止」という法案が提出されるなど、突如国の規制によってDAOが妨げられる可能性があります。

ガバナンス設計が複雑

「コードが支配する」DAO内で、目的に対して正しく運用され続けるガバナンス設計は常に問われます。

全く知識がない投票権を持つユーザーが、正しい意思決定ができるのだろうか?という疑問も上がっています。

また、突然コントリビューター(リーダー的存在)がいなくなりDAOが停滞してしまうというリスクは常に付きまとっています。

強制力がない中で、正しく運用され続けるガバナンスを設計することが、現時点では複雑で難しいとされています。

インセンティブ設計が複雑

ガバナンス設計同様の問題であり、特に定量化しずらい貢献へのインセンティブが難しいという課題があります。

中央集権構造になりうる

DAOの意思決定は投票権を持つもので行われるのですが、悪意を持ったユーザーが投票権の過半数以上を占めることで乗っ取り問題が発生する可能性があります。

以前、「Vunus」というDAOが乗っ取られる寸前まで進んだケースがあります。

DAOの仕様にもよりますが、DAOの投票権は「ガバナンストークン」の保有量によって決まります。

そして、ガバナンストークンの入手方法は、DAOで貢献して報酬としてもらう/取引所で購入する等いくつかの方法があり、強引に過半数以上のトークンを保有して意思決定を絶対のものとすることが可能なのです。

結果、Vunusでは「乗っ取りの提案」が投票の過半数を超えて可決してしまった、という経緯です。

ただ、最終的にはVunusの運営メンバーが投票で決まった意思決定を強制的にキャンセルするといった形で事態を収集させました。

乗っ取りもそうですが、過半数投票で決まった意思決定を強制的に運営メンバーが無効にできるという結果に対しても、中央集権構造と変わらないよね、と多くの疑問が投げられました。

不完全もいいところ

DAOは拡大フェーズに入っているとはいえ、まだまだ不完全であることは間違いありません。

これからに期待しましょう。

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