レンタカーの保険は必要なの?教えて自動車保険の専門家さん!

休暇を利用して旅行に行く際に、旅行地を存分に楽しむために欠かせない移動手段がレンタカー。

旅行先でレンタカー屋に問い合わせたところ、「保険どうしますか?万が一のために、入っておいた方がいいですよ?」と聞かれ、「保険って必要なのかな?」と疑問に思ったと思います。

1日1,500円程度なので高いわけじゃないが、「事故なんてきっと起きないし、なんか勿体無いな〜」と思い躊躇ってしまうものです。

そこで自動車保険の専門家に、レンタカーの保険が必要かどうか聞いてみました!

「先に答え教えろ!」という方のために結論だけ教えると、レンタカー保険は必要という判断に至りました。

少し難しい内容も含まれますが、せっかく専門家に相談したので、「レンタカー保険は必要」に至った経緯を全てお伝えします。

レンタカーで事故を起こした際に支払う3つの賠償金

レンタカーの賠償金

まず、実際にレンタカーを借りて事故を起こした場合のシュミレーションをしてみます。

レンタカーで事故を起こした場合に支払う賠償金は下記の3つです。

  • 対物・対人賠償金
  • 車両賠償金
  • ノンオペレーションチャージ(NOC)

それぞれ詳しく見ていきます。

対物・対人賠償金

対物・対人賠償金とは、誰かをケガさせたり、何かを破損してしまった場合に、被害者や被害物に対して支払う賠償金です。

実際に過去に発生した、賠償金事例をいくつかご紹介します。

人身事故

人身事故の賠償金です。

事故日 加害者職業 損害額
H21.12.27 眼科開業医 5億2,853万円
H15.9.14 大学生 3億9,725万円
H19.4.13 大学生 3億9,510万円

対物事故

対物事故の賠償金です。

事故日 損害物 損害額
S60.5.19 積荷 2億6,135万円
H19.4.13 店舗
(パチンコ)
3億9,510万円
H19.4.13 電車・家屋 3億9,510万円

(引用:自動車保険の概況 – 損害保険料率算出機構)

全ての賠償金が億を超えています。

車両賠償金

借りていたレンタカーに傷がついた場合に、レンタカー会社に支払う賠償金です。

車両賠償金で怖いのが、駐車場でこすられた、あるいは当て逃げされた場合も支払い義務が発生する点です。

車両賠償金の相場も見ておきましょう。

修理内容 費用相場
小さな傷 1,000円~
ミラー 8,000円~
へこみ 20,000円~
ドア交換 100,000円~

賠償金自体は大きな金額ではないですが、第三者にやられた場合も全て自己負担になるという点には気をつけなければいけません。

ノンオペレーションチャージ(NOC)

車が破損した場合の、修理期間に対しての賠償金です。

修理期間はレンタカーの営業ができないため、その間は儲けがなくなります。

その修理期間を補填する賠償金が、ノンオペレーションチャージです。

ノンオペレーションチャージの1日当たりの賠償金は1,000円程度ですが、修理すると2週間以上かかることが多いから、予め賠償金額を2万円程度に設定しているケースがほとんどです。

2.レンタル料に必ず含まれている3つの保険

「事故を起こして1億円なんて払えないから、レンタカー保険は入ったほうがいいんだね!」とお考えのあなた、少し待ってください。

実は、レンタカーのレンタル料に予め含まれている3つの保険があります。

それが、下記3つの保険になります。

対人保険
8,000万円以上/人
人と接触事故を起こした際に、被害者に対して支払うべき賠償への保険
対物保険
200万円以上/件
物と接触事故を起こした際に、被害者に対して支払うべき賠償への保険
搭乗者保険
500万円以上/人
人・物と接触事故を起こした際に、運転者、搭乗者の治療費に対して支払われる保険

レンタカー会社は、レンタカー業を行う際に国土交通大臣管轄の運輸局が公示する「自家用自動車有償貸渡業の許可」の申請を行う必要があります。

「自家用自動車有償貸渡業の許可」の申請の条件の1つに、上記3つの保険をレンタカー会社が加入しなければならない義務があります。

賃渡自動車は、事故を起こした場合に備えて、十分な補償を行いうる次に定める自動車保険に加入するものであること。

ア 対人保険 1人当たり 8,000万円以上
イ 対物保険 1件当たり 200万円以上
ウ 搭乗者保険 1人当たり 500万円以上

「自家用自動車有償貸渡許可申請事案の処理方針について」 (平成18年3月31日 公示第11号)

上記3つの補償額は最低保証額であり、実際はほとんどのレンタカー会社は下記の保証を予めレンタル料に含めています。

  • 対人保険・・・無制限
  • 対物保険・・・無制限
  • 搭乗者保険・・・3,000万円

また、「車両保険」も予め加入している場合が多いです。

レンタカー会社が提供している2つの補償制度

では、レンタカー会社が提供する「レンタカー保険」とは何か、その実態が下記2つの補償です。

  • 免責補償制度(CDW)
  • ノンオペレーションチャージ補償制度(NOC)

それぞれ見ていきます。

免責補償制度(CDW)

「免責額」とは、事故を起こした際に、レンタカー保険が支払われる前に事故を起こした本人が自己負担しなければならない金額です。

一例として、日本が世界に誇る「TOYOTA」が運営する「TOYOTA Rent a Car」の免責額を紹介します。

対物:50,000円
車両:50,000円(バス・大型貨物車は10万円)

引用:TOYOTA Rent a Car – 万一の事故の時は

つまり、賠償金が5万円を超えない場合は全て自己負担となるのです。

ほとんどの小さな事故は、全て自己負担になるということです。

面積補償制度の保険料は1日1,080円程度なので、慣れていない道を走る場合、小さな傷をつけることは多々あるので、加入しておいたほうが得策です。

ノンオペレーションチャージ補償制度(NOC)

事故を起こした際に、レンタカー会社に支払う賠償金の1つに「ノンオペレーションチャージ(NOC)」がありますが、そのチャージを補償する制度がノンオペレーションチャージ補償制度です。

この補償制度はレンタカー会社によってはないケースもありますが、多くの場合は1日(24時間)当たり540円程度です。

観光スポットは事故のリスクが高い

上記の話を聞いて、「運転には慣れてるし、事故を起こさないからレンタカー保険はいらないよ」というあなた、観光スポットは事故のリスクが非常に高いんです。

観光スポットというのは、普段運転し慣れていない人が、運転し慣れていない道を、初めての車で運転するのです。

自分がいかに得意でも、周りの人からの被害を受ける可能性があるため、個人的には免責補償制度が備わっているレンタカー保険に加入することをオススメします。

自動車保険の裏ワザ「他車運転特約」は使用したらダメ

ちなみに、レンタカー保険に加入していなくても、「他車運転特約」という自動車保険の特約に加入していれば、「他車運転特約」の補償で賠償金を支払うこともできます。

ただし、この「他車運転特約」を使用すると、ほとんどの場合は大損するので辞めた方がいいです。

他車運転特約ってなに?

他車運転特約とは、自家用車の自動車保険で加入できる特約(オプション)で、自家用車以外の車で運転していた場合でも、自家用車で契約している保険から賠償金が支払われる特約です。

自動車保険は原則”車”に保険をかけるため、自動車保険は自家用車のみに保険が適用されます。

しかし、「他車運転特約」に加入すると、レンタカーの事故でも、自家用車にかけている自動車保険から賠償金を支払うことができるのです。

「だったら他車運転特約を活用すればいいじゃん」と言う方、自動車保険は事故を起こすと等級が3つ下がり、保険料が大幅にあがることを思い出してください。

事故を起こすと等級が3階級落ちる

自動車を持っている人ならわかると思いますが、自動車保険の保険料を決める1から20までの数字で「等級」というものがあります。

等級は20等級からスタートし、毎年事故を起こさなければ1等級下がり、等級が低ければ低いほど保険料が安くなり仕組みになっています。

もし「他車運転特約」を活用すると、自身の等級が3階級落ちるため、翌年の自動車保険料が約1.5倍になります。

たった24時間で1,000円を支払うのと、それをけちって等級を下げて1年当たりの保険料が1.5倍になるのがどちらがお得かわかると思います。

やっぱりレンタカー保険は必要

1日1,000円で安心が買えるのであれば、運転者も気分的に楽になると思いますし、せっかくの旅行なので気兼ねなくいきたいですしね。

なので、今後はレンタカー保険に是非加入し、思いっきり旅行を楽しんでください。

それでは、良い旅を!

Related