労働組合とは?経営者の立場から見る労働組合の意味合いと注意点
2018.11.28
「労働組合」と聞いて、会社が行うべきものか不安になった方もいると思います。
そこで、経営者の立場での「労働組合とは」についてお伝えしていこうと思います。
1.労働組合とは
労働組合は、立場の弱い労働者が団結することで、経営者と対等に交渉するために作られたものです。
日本国憲法では下記のように明記されています。
日本国憲法第28条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
日本国憲法で示されている権利を『労働三権』と呼び、下記3つが該当します。
団結権 | 労働者が団結する権利 |
---|---|
団体交渉権 | 労働者が使用者と交渉する権利 |
団体行動権 | 労働者が要求実現のために団体で行動する権利 |
2.労働組合の種類
労働組合は主に4つの種類に分かれます。
企業内組合 | 企業単位で所属従業員により組織された労働組合 |
---|---|
産業別・職業別組合 | 企業の垣根を超え、同一職種に従事する労働者により組織された労働組合 |
合同労組 | 全ての垣根を越えて組織された労働組合 |
上部団体 | 労働組合同士が集まり組織された労働組合 |
3.労働組合は作らなければならないのか
会社側での労働組合を組織する義務はありません。
労働組合はあくまで労働者の権利であり、会社側から行うことはありません。
4.労働組合の法的効力
労働組合は日本国憲法で守られている労働三権があり、これを理由なく拒むことはできません。
下記に該当する行為を『不当労働行為』と言います。
(1) 組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(第1号)
イ 労働者が、
・ 労働組合の組合員であること、
・ 労働組合に加入しようとしたこと、
・ 労働組合を結成しようとしたこと、
・ 労働組合の正当な行為をしたこと、
を理由に、労働者を解雇したり、その他の不利益な取扱いをすること。
ロ 労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること(いわゆる黄犬契約)。
(2) 正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止 (第2号)
使用者が、雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由なく拒むこと。
※ 使用者が形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと (「不誠実団交」)も、これに含まれます。
(3) 労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止 (第3号)
イ 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配し、又はこれに介入すること。
ロ 労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること。(4) 労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱いの禁止 (第4号)
労働者が労働委員会に対し、不当労働行為の申立てをし、若しくは中央労働委員会に対し再審査の申立てをしたこと、又は労働委員会がこれらの申立てに関し調査若しくは審問をし、若しくは労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言したことを理由として労働者を解雇し、その他の不利益な取扱いをすること。
5.労働組合との話し合いで注意すべきこと
5-1.署名に簡単にサインをしない
労働組合と会社との間で取り決められた書面に署名・押印してしまうと、それは「労働協約」という扱いになり、法律上非常に強い効力を持つ取り決めになるため気を付けましょう。
5-2.全て労働組合の言いなりになる必要はない
会社には労働組合から団体交渉を迫られた場合、「団体交渉応諾義務」と「誠実団交義務」があるため、無視・放置することはできません。
しかし、この「団体交渉応諾義務」と「誠実団交義務」はあくまで誠実に話し合う義務であり、譲歩を強要する義務ではありません。
そのため、会社と団体組合の話し合いがつかなければ「決裂」として交渉を打ち切ることも可能です。
労働組合まとめ
- 労働組合は会社の義務ではなく、労働者の権利である
- 労働組合では労働三権が守られている
- 団体交渉では経営者にも主張する権利がある