会社員でも経費を作り節税対策?特定支出控除とは

『業務のために使っているお金はたくさんあるのに、会社員は経費が作れない、、、』と思っているあなた、この記事を是非熟読してください。会社員でも条件を満たせば、経費を作ることができ、節税対策をすることができます。

個人事業主や経営者でなくとも、業務にまつわる支出であれば経費できる制度として、『特定支出控除』というものがあります。あまり知られていない制度ですが、ちゃんと使えば会社員でも、業務のための支出なら経費にできてしまいます。

そんなお得な制度、『特定支出控除』について丁寧にご説明いたします。もしかすると、来年、所得税が還付され、住民税・健康保険料が安くなる可能性があります。是非、この記事を読んでご自身に当てはまるかどうか確認してください。

1.特定支出控除とは

特定支出控除とは、業務にかかる費用が大きい場合に活用できる制度で、会社が経費と認めた場合に『特定支出』として認められ、さらに給与所得控除額×1/2を超えた額を『特定支出控除』とすることができます。

業務にかかる費用を経費とすることができる制度なのに、今まで使われなかったのはなぜかというと、平成24年まではハードルがとても高かったからです。下記が比較例です。

平成24年分迄 平成25年分以降
特定支出の範囲
  • ①通勤費
  • ②転居費
  • ③研修費
  • ④帰宅旅費
  • ①通勤費
  • ②転居費
  • ③研修費
  • ④資格取得費
  • ⑤帰宅旅費
  • ⑥勤務必要経費(上限65万円)
判定基準額 給与所得控除額 給与所得控除額×1/2
※平成28年から、所得に対しての判定基準額の差がなくなりました。

上記の通り、平成24年までは『範囲』が狭く、なにより『判定基準額』が給与所得控除を超えた金額だったので、ほとんどの方が活用するのは難しい制度でした。平成24年はたったの4人しか活用していません。

しかし、平成25年以降に関しては、範囲の拡大、及び判定基準額のハードルが下がったため、『知っていないと損をする可能性がある制度』となりました。

1-1.特定支出控除の範囲

通勤費 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出。
転居費 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出。
研修費 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出。
資格取得費 職務に直接必要な資格を取得するための支出。
帰宅旅費 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出。
勤務必要経費 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)

図書費 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用
衣服費 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用
交際費等 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出。

主に増えたものは、『資格取得費』と『職務必要経費』となります。業務で必要な資格を取得するために、50万円~100万円の高額な授業料を支払った資格取得の勉強をしていましたが、これらの経費も対象になるため、税理士事務所や弁護士事務所でこれから資格を取得しようと考えている方にはとても便利な制度です。

スーツは経費に!?

よく「スーツは経費にできる」という記事を見ますが、これはすごく難しいです。税務署や税理士は『ダメ』と言うでしょう。ただ、どうしても経費にしたいということであれば、『税務署と戦う覚悟』を持ってください。

過去の判例として、京都地裁昭和49年5月30日にスーツ代が経費になるかについての裁判がありました。
サラリーマン税金訴訟(出典:京都産業大学)

結論、スーツは家事関連費としての扱いとなり、経費(特定支出控除)として認められませんでした。理由としては下記の通りです。

・誰もが必要であること
・個人の趣味嗜好が入ること
・耐用年数にかなりの個人差があること

しかし、「税務署と戦う覚悟」がある方は、この判決にもスーツを経費として認められる余地は十分に残っています。

それは、家事関連費について、所得税法施行令第96条、所得税法基本通達45では、『業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分』は経費としては考慮すると書かれています。要は、しっかり家事関連費と業務に使っているものと明確に分けていれば、スーツも経費として認めらる可能性があります。今回のケースは、経費として認めるに値する証拠がなかった、ということになります。

1-2.判定基準額

実際に、いくら使っていくら特定支出控除になるのか、というのを実際に計算してみます。こちら、日本人の平均所得である420万円で計算します。

給与所得控除

判定基準額の計算で最も大切なのが給与所得控除です。給与所得控除とは、『給与所得者の給与がこれくらいなら、これくらいは経費だよね。』と、あらかじめ給与に対して控除額が決められているものです。個人事業主や経営者のように自分で経費を作れないので、その代わり経費分として控除しますよ、というものです。

下記が給与所得控除の一覧表になります。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
~1,800,000円 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,001円~3,600,000円 収入金額×30%+180,000円
3,600,001円~6,600,000円 収入金額×20%+540,000円
6,600,001円~10,000,000円 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,001円~ 2,200,000円(上限)

では、年収420万円の方の給与所得控除金額は実際にいくらになるのかを実際に計算していきます。

年収420万円(給与所得)
4,200,000円×20%+540,000円=1,380,000円(給与所得控除)

つまり、年収420万円の方の給与所得控除は1,380,000円となります。案外、給与所得者も経費として認められている金額は大きいんだなという印象でした。

判定基準額の計算方法

判定基準額=給与所得控除×1/2

特定支出控除を求める際に必要な判定基準額は、上記の通りとてもシンプルです。平成24年分までは上記の2分の1がなかったので、給与所得控除全額を超えないと活用できない制度でした。
ただ、2分の1になると、年収420万円の場合、特定支出控除は
1,380,000円×1/2=690,000円
なので、「皆が使える便利な制度」というよりは、「一部の人が活用できる制度」と認識して頂ければと思います。

1-3.特定支出控除の最後の壁

上記の特定支出控除の範囲と判定基準額をクリアし、領収書も保管しているので、早速所得税の還付申告しにいこ!と思われた方がいるかと思いますが、実は、もう一つハードルがあります。それは『給与等の支払者の証明書』が必要ということです。

平成24年時に活用した方はたったの4人ということを考えると、経営者や税理士の中にはちゃんとした理解をしている方は少なく、会社にとってマイナスは一切ないにも関わらず、「よくわからないからダメ」とはねられるケースも多々あります。この『支払者の証明書』の確認もとっておかないと、せっかく苦労して集め、しっかり保管していたのに、ここでダメと言われたら元も子もありません。なので、必ず特定支出控除の申請をする際は、しっかり経営者と協議して、確約を取ってから動いた方が賢明です。

2.特定支出控除が活用できるケース一覧

では一体、どのようなケースの場合、特定支出控除が活用できるのか、という点について独自の見解をお伝えします。

2-1.士業の資格取得

これが一番濃厚かと思います。実際に、弁護士事務所や税理士事務所、社労士事務所など士業の会社に入った場合、資格取得が業務上必要になってくるかと思います。そして、これらの独占業務がある資格の取得は困難で、そのために資格取得講座の受講料は50万円~100万円のものまであります。これだけ高額で、かつ会社が負担してくれない特定支出は恐らく資格取得だけだと思います。

実際に70万円の資格取得講座授業料だと仮定した場合、下記の計算で、特定支出控除によるメリット金額が算出できます。
700,000円(特定支出)-690,000円(判定基準額)=10,000円
この金額が所得控除(税額控除ではないです)となり、1万円に所得税率がかけられて、所得税の還付としてメリットを享受することができます。

ここまで話を聞くとわかると思いますが、「メリット金額自体はかなり少ない」です。なので、『特定支出控除』というものがあるんだなー、と認識して頂ければと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。実際に使える対象の方もいらっしゃる制度(まだまだ活用しずらい制度ですが)ですので、何かご不明点等ありましあらお気軽にご相談頂ければと思います。
以上、特定支出控除についてでした。

中澤 寛
マザーズ上場・200ヵ国を周る・100人チームを作る、人生をかけて本気でチャレンジするブログ。
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