経営者が最低限知っておくべき”賃金”のあれこれ

『賃金』という言葉はよく耳にすると思いますが、実際に何を賃金というのだろうか、また賃金はどこまで含まれるのだろうか。それらを正確に答えられる方は少ないと思います。

このコンテンツでは、まず賃金の定義を明確にし、後述として、経営者が労務違反を犯さないために最低限知っておくべき知識をお伝えします。

1.賃金とは

この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

賃金について、労働基準法第十一条ではこのように書かれています。賃金に当てはまらないものとして、主に下記のようなものがあります。

任意的・恩恵的な給付 結婚祝い金・見舞金等
福利厚生施設 住宅・食事等
企業設備の一環 制服・作業衣・旅費等

※ただし、上記のものでも、労働協約・就業規則・労働契約等によって、あらかじめ支給条件の明確なものは、賃金となる。

1-1.平均賃金の計算方法

平均賃金は、『解雇予告手当』や『休業手当』などを支払う際に必要になってきます。

平均賃金 = 算定事由発生日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額
算定事由発生日以前3ヵ月間の総日数

※算定事由発生日に関しては、5月10日が算定事由発生日とすると、2月10日から5月9日までの期間。ただし、賃金締切日が20日なら、1月21日から4月20日までとなる。

「賃金の総額」・「総日数」、両方に含まれないもの

  • 業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
  • 産前産後の女性が、法65条の規定によって休業する期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
  • 育児休業又は介護休業をした期間
  • 試みの試用期間

「賃金の総額」に含まれないもの

  • 臨時に支払われた賃金
    (私傷病手当、加療見舞金、退職手当等)
  • 3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金
    (年2回の賞与等)
  • 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
    (法令又は労働協約の定め以外に基づいて支払われる実物給与)

1-2.賃金の支払いの5原則

通貨払の原則

<原則>賃金は、通貨(貨幣)で支払わなければならない。

<例外>次の①~③の場合、賃金を、通貨以外のもので支払うことができる。

  • 法令・労働協約に別段の定めがある場合
    ※上記の場合、実物給与で可能です。
  • 退職手当について、労働者の同意を得て次のものにより支払う場合
    • – 金融機関の振出小切手
    • – 金融機関の支払保証小切手
    • – 郵便貯金銀行がその行う為替取引に関し負担する債務に係る権利を表章する証書
  • 労働者の同意を得て、口座振り込み等によって支払う場合

    実は、通貨は基本的には手渡しでなければならない!ただし、口頭でもいいので労働者の伝え、預貯金口座を指定したならば同意を得られたと解される。

直接払の原則

<原則>賃金は、直接労働者に支払うのが原則で、代理の者に支払うことができない。ただし、使者に対して賃金を支払うことは差し支えない。
※ 派遣労働者の賃金は『派遣先の使者』を通じて支払うという見方になるので、直接払の原則に違反しない。

全額払の原則

<原則>賃金は、その全額を支払わなければならない。

<例外>下記の①、②の場合、賃金の一部を控除して支払うことができる。

  • 法令に別段の定めがある場合
    税金や社会保険料の源泉控除は、事業主が義務づけられている。
  • 労使協定がある場合
    組合費、購買代金、社宅費、社内預金等を控除の対象とする例が多い。

また、端数処理について、次の方法は全額払の違反とならない。

  • 1ヵ月の賃金支払額に100円未満の端数が生じた場合に、50円未満を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと。
  • 1ヵ月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと。

毎月1回以上払の原則

<原則>賃金は、毎月1回以上支払わなければならない。

<例外>賃金でも、次のものは毎月1回以上支払わなくていい。

  • 臨時に支払われるもの
  • 賞与
  • その他上記の準ずるもの

一定期日払の原則

<原則>賃金は、一定の期日を定めて支払わなければならない。

賃金支払日を毎月25日というように決めることをいう。
※ 毎月の月末日払いは違法ではない。

1-3.非常時払

労働者が『出産』、『疾病』、『災害』その他厚生労働省が定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前でも、既往の労働に対する賃金は支払わなければならない。

非常の場合

  • 労働者の収入によって生計を維持する者の出産、疾病、災害
  • 労働者又は労働者の収入によって生計を維持する者の結婚、死亡、又はやむを得ない事由による1週間以上にわたる帰郷。

1-4.休業手当

使用者の責に帰すべき休業の場合、使用者は休業期間中の労働者に、平均賃金の60/100以上の休業手当を支払わなければならない。

1-5.出来高払制の保障給

出来高制の場合でも、一定額の賃金の保障は義務として支払わなければならない。つまり、完全出来高払制は違法になります。

1-6.最低賃金

経理のことに手が回っていない社長も

賃金には、各地域で最低賃金が定められている。

全国の最低賃金一覧(出典:厚生労働省)

2.賃金についての労働基準法

中小企業の経営者は、経営者自身も現場に出てバリバリ働いているため、経理に手が回っていないケースが多々あります。その中で、知らず知らずのうちに労務違反を犯しているケースが多々ありますが、最低限知っておいてほしい賃金に関しての労働基準法をお伝えしますので、自社でクリアしているか是非確認してみてください。

2-1.残業代

労働者には法定労働時間というものが存在し、経営者はこれを超えて労働者を働かせると、通常の賃金から割増で賃金を支払わなければならなくなります。下記が最低限知っておくべき割増賃金になります。

1ヵ月単位の変形労働時間制(出典:厚生労働省)

時間外労働 25%増

これは皆さんも良くご存知だと思いますが、1日8時間、また週40時間を超えた分は、原則賃金の25%増の割増賃金を支払う義務が発生します。例外としては、変形労働時間制があります。変形労働時間制に関しては、下記の通りです。

深夜労働 25%増

原則午後10時から午前5時までの間に労働者に働かせた場合、25%像の割増賃金が発生します。時間外労働が重なれば、50%増にまで増えます。

休日労働 35%増

完全週休2日(週休2日は違います)とうたっている会社が、労働者に週6日以上働かせると、5日を超えた分に関しては全て休日労働に該当します。

残業時間60時間超え 50%増

大企業では、既に残業時間が60時間を超えると、50%の割増賃金の支払いが義務になっています。
さらに、平成31年4月1日より、中小企業も上記に該当した場合、支払いの義務が発生します。

36協定

これは残業代知らない方が多いのですが、残業を1秒でもする会社は『36協定』を労使間で結ばなければなりません。こちらを結ばないと労務違反になり、『6ヵ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金』が適用されます。

1秒でも残業をする会社は義務?36協定とは(出典:経営者のミカタ)

いかがでしたでしょうか。最低限知っておくべき賃金に関しては知識になります。上記のことは最低限知っておくべき知識になります。

『よくわからない』という方は、是非一度ご連絡下さい。ご説明させて頂きます。

中澤 寛
マザーズ上場・200ヵ国を周る・100人チームを作る、人生をかけて本気でチャレンジするブログ。
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