キャリアアップ助成金を専門用語を一切使わずわかりやすく徹底解説

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「キャリアアップ助成金は聞いたことがある」という方は多いと思います。しかし、厚生労働省のページを見たけどよくわからず、またウェブサイトで検索しても専門用語が乱立しており、結局よくわからず諦めた方がほとんどだと思います。

そこで、このページでは有期契約社員から正社員への転換を目的とする「正社員化コース」について、”わかりやすさ”を徹底追及し、実際に1人当たり57万円(条件次第で72万円)を受給するまでの流れを解説していきます。

1.キャリアアップ助成金を申請する際に、最低限理解しておくべき用語一覧

助成金の申請で理解ができない最も大きな要因は、「用語が難しい」という点です。

この記事ではできるだけ専門用語を使わないようにしますが、最低限理解して頂きたい用語をリストでまとめました。是非参考にしてみてください。

助成金 主に厚生労働省管轄の支援金で、雇用関係にまつわる支援金です。今回の「キャリアアップ助成金」は、基本的にj管轄のハローワークが対応してくれます
正規雇用労働者 正社員のことを指します。
無期契約労働者 正社員と違う、無期契約労働者というくくりがあります。契約期間の定めはないが、労働条件が正社員と異なるケースが該当します。
有期契約労働者 期間の定めがある労働者を指します。「契約社員」もここに該当します。
※アルバイト、パートは契約内容にもよりますが、契約社員でないケースがほとんどです。
アルバイト・パート 基本的に契約期間の定めはないが、「短時間」というのが特徴で、正社員は月給なのに対し、時給なケースが多いです。
常時雇用する労働者 2ヵ月以上雇用する予定の労働者は全て対象となります。アルバイト、有期契約も含まれます。派遣社員、業務委託は含まれません。
ただ、管轄のハローワークによって意見が異なるので、必ず管轄のハローワークに確認して下さい。

2.社会保険労務士が”全員”している、助成金を申請する際に”失敗しない”ための裏技

社会保険労務士(以後、社労士)とは、助成金の申請代行を独占業務で行える専門家ですが、毎年変更がある助成金を全て完璧に把握できている社労士はほとんどいないと思います。

ではどうしているかというと、分からない箇所は「ハローワーク(公共職業安定所)に直接確認」しています。ハローワークにはキャリアアップ助成金の担当者がいるので、わからないことは電話で「キャリアアップ助成金の正社員化コースに関して質問があります」と言えば、担当者が対応してくれます。

下記から管轄のハローワークが調べられるので、わからないところや不明な点があれば随時確認しましょう。

全国ハローワークの所在案内

3.キャリアアップ助成金の8つのコースを簡易解説

キャリアアップ助成金は8つのコースに分かれており、「多くの方の知っているキャリアアップ助成金」は、この記事で解説している「正社員化コース」というものです。

体系的に理解するために、8つのコースを簡易的に解説します。なんとなく「こんなのもあるんだ」と理解してください。

コース名 内容 受給額
正社員化コース 有期契約労働者等を正社員等に転換または直接雇用した場合 21万3,750円~72万円
人材育成コース 有期契約労働者等に訓練を実施した場合 475円~960円/1人1時間 + 実際に払った金額(条件あり)
賃金規定等改定コース 全て、または一部の有期契約労働者等の基本給を上げた場合 33,250円~28万5,000円
健康診断制度コース 有期契約労働者等を対象とする『法定外の健康診断』を、延べ4人以上実施した場合 28万5,000円~48万円
賃金規定等共通化コース 有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規を適用した場合 42万7,500円~72万円
諸手当制度共通化コース 有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当(交通費手当等)制度を適用した場合 28万5,000円~48万円
選択的適用拡大導入時処遇改善コース 有期契約労働者を新たに被保険者とし、基本給を増額した場合 14,250円~12万 / 1人
短時間労働者労働時間延長コース 短時間労働者の所定労働時間を延長し、社会保険を適用した場合 14万2,500円~24万円

4.実際に申請する際の必要書類、提出先、行うべきこと

それでは実際に「キャリアアップ助成金」の「正社員化コース」を実際に申請します。

こちらを受給までのすべての流れを記載していますので、順序通り行って頂ければ基本的には受給できます。

まずはキャリアアップ助成金の対象となるか確認下さい。

4-1.助成金の対象かどうかを確認する

対象事業主

  • 雇用保険適用事業所を設置している
  • 雇用保険料、社会保険料を支払っている。
    ※従業員5名未満の個人事業主は雇用保険だけで可能。
  • 過去半年以内に会社都合の解雇をしていない
  • 労務違反を犯していないか
  • 中小企業であること(資本金5,000万円以下 or 常時雇用する労働者50人以下)
    ※業種によっては資本金3億円以下 or 常時雇用する労働者300人以下

助成金の主な財源は「雇用保険料」です。なので、雇用保険料(雇用保険、労災保険)を支払っていることが大前提となります。

社会保険料(健康保険、厚生年金)も基本的に必要ですが、従業員が5名未満の個人事業主であれば、雇用保険料の支払いだけで申請対象となります。

会社都合の解雇を調べる方法は、『事業所別被保険者台帳』が有効になります。こちらには、名前、雇用保険加入日、脱退日、現在の被保険者状況が書かれています。

過去の分も取得すると、今まで辞めた方の分も全て含まれたものが取得できますので、そちらで被保険者状況を確認できます。

被保険者状況は、1~3で表示されており、『1.被保険者』、『2.本人都合の退職』、『3.会社都合の退職』となりますので、半年以内に『3』があると申請できません。

対象労働者

・6ヵ月以上雇用(派遣労働者以外は雇用保険料が払われていること)している者
・過去3年以内に雇っていない者
・代表や取締役の3頭以内の親族以外の者
・何かしらの形で関与していない者

対象労働者は下記3パターンへの転換が可能です。

対象労働者 転換後 受給額
中小企業 大企業
有期 正規 57万円(72万円) 42万7,500円(54万円)
有期 無期 28万5,000円(36万円) 21万3,750円(27万円)
無期 正規 28万5,000円(36万円) 21万3,750円(27万円)

※()内の数字は生産性要件を満たした場合に受給できる金額になります。

生産性要件パンフレット【リンク:厚生労働省】

従業員が正規、有期、無期かは、「雇用契約書」で決まります。なので、まだ雇用契約書を作成していない会社の労働者は、雇用区分はどれにも該当しない状態です。

「生産性要件」を簡単に説明すると、「4年前の決算報告書と前年度の決算報告書を比較して、営業利益が上がっている会社」が対象となる可能性があります。ほとんどの場合は該当せず、また申請作業が複雑になるため、基本的には無視して構いません。

4-2.書類を揃える

事前書類

下記書類は必ず必要になるので、予め準備しておきましょう。全て検索すればフォーマットがありますので、そちらを活用下さい。

・出勤簿
・賃金台帳
・雇用契約書
・就業規則
・就業規則届
・就業規則意見書

出勤簿に関しては、タイムカード等、実際に使用しているものを提出して下さい。作り変えたことが発覚した場合、支給対象外となってしまいます。

計画書作成

実際にキャリアアップ助成金の計画書を作成してきます。全て下記の厚生労働省のホームページに書類がそろっているので、そちらからダウンロードして下さい。

申請様式のダウンロード(キャリアアップ助成金)

  • (様式第1号)キャリアアップ計画書

なんと、キャリアアップ助成金の計画書はこれだけです。そして、転換する制度があることを、就業規則に追加します。正社員化コースは下記を参考に就業規則に追加してください。

第○条(正規雇用への転換)
勤続○年以上の者又は有期実習型訓練修了者で、本人が希望する場合は、正規雇用に転換させることがある。
2 転換時期は、毎年原則4月1日とする。
3 人事評価結果としてc以上の評価を得ている者又は所属長の推薦がある者に対し、面接及び筆記試験を実施し、合格した場合について転換することとする。

注意点

キャリアアップ計画書に「転換実施予定日」を記載する欄と、就業規則の「転換時期」の整合性を合わせてください。

就業規則に「転換時期」を「4月」と定めたのに、「転換実施予定日」が「12月」では助成金の対象とならない可能性があります。

4-3.書類を提出&実行

計画書提出

下記書類を指定の場所に提出して下さい。順番はどちらが先でも構わないですが、下記2点を『転換前(正社員化等)』に行って下さい。

・(様式第1号)キャリアアップ計画書→ハローワーク
・制度が導入されている就業規則→労働基準監督署

就業規則を提出する際に、「就業規則届」と「就業規則意見書」が必要になるので、一緒に持参して下さい。

制度実行

就業規則に定めた「転換時期」と、計画書に記載した「転換実施予定日」を照らし合わせて、転換日に実際に就業規則に定めた「転換方法」通りに転換を行って下さい。

上記の就業規則の例では、「面接及び筆記試験を実施し、合格した場合について転換する」とあるので、面接、筆記試験を行って下さい。

この場合の「合格」の基準は自社で決めて頂いて構いません。特段、これに対して書類の提出等はありません。

無事転換が行われたら、転換後の契約内容で雇用契約書を作成して下さい。

4-4.支給申請&受給

支給申請

下記が必要書類になります。

・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
・支払方法・受取人住所届 ※未登録の場合に限る
・就業規則(制度が導入されている)
・雇用契約書(転換前 / 転換後)
・賃金台帳(転換前後6ヵ月分)
・出勤簿(転換前後6ヵ月分)
・登記簿謄本(履歴事項全部証明書※3ヵ月以内) or 事業所確認表(様式第8号)

支給申請のタイミングは、「転換後、6ヵ月目の給与が支払われ(賃金算定期間)、その翌日から2ヵ月以内」です。ここで一番受給漏れが発生するケースが多いです。しっかり日程を確認しておきましょう。

助成金受給

おおよそ、支給申請から4~6ヵ月後に入金されるケースが多いです。

あとは待つだけです。

5.ここだけは気を付けるべき点

  • 就業規則の「転換時期」と計画届の「制度導入日」を揃える
  • 出勤簿、賃金台帳は普段使用しているものを使う
  • 残業代の未払いはないか
  • 転換前までに、精度を導入した就業規則を管轄の労働基準監督署に提出する
  • 管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書をなくさない
  • 支給申請までキャリアアップ助成金の対象労働者が辞めていないか
  • 支給申請期間の認識間違いはないか

6.受給額をアップする2つのチェックポイント

キャリアアップ助成金の正社員化コースには、いくつか受給額をアップさせる条件があります。先ほどの生産性要件を満たすことも1つですが、もっと簡単なものが「母子・父子家庭」、「派遣社員」です。

母子・父子家庭の母あるいは父を転換した場合、1人当たり95,000円(120,000円)も受給額が増えます。派遣社員を正規雇用にした場合、285,000円(360,000円)も増えます。

転換パターンによって受給できる金額は異なりますが、必ず転換する際は確認しましょう。

7.他にもおすすめな助成金

無事正社員に転換した場合に、すぐに使える助成金が2つあります。どちらも使いやすいのおすすめです。

人材開発支援助成金、徹底解説!1年後に90万円を貰うための全手順
職場定着支援助成金とは?申請までに必要な書類、手続きを全公開

まとめ

対象事業主

  • 雇用保険適用事業所を設置している
  • 雇用保険料、社会保険料を支払っている。
    ※従業員5名未満の個人事業主は雇用保険だけで可能。
  • 過去半年以内に会社都合の解雇をしていない
  • 労務違反を犯していないか
  • 中小企業であること(資本金5,000万円以下 or 常時雇用する労働者50人以下)
    ※業種によっては資本金3億円以下 or 常時雇用する労働者300人以下

対象労働者

  • 6ヵ月以上雇用(派遣労働者以外は雇用保険料が払われていること)している者
  • 過去3年以内に雇っていない者
  • 代表や取締役の3頭以内の親族以外の者
  • 何かしらの形で関与していない者

事前書類

  • 出勤簿
  • 賃金台帳
  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 就業規則届
  • 就業規則意見書

計画書

  • (様式第1号)キャリアアップ計画書
  • 就業規則(制度を導入する)

計画書提出

  • 計画書→ハローワーク
  • 就業規則→労働基準監督署

制度実施

  • 雇用契約書作成(転換後)

支給申請

  • 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  • 支払方法・受取人住所届 ※未登録の場合に限る
  • 管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
  • 就業規則(制度が導入されている)
  • 雇用契約書(転換前 / 転換後)
  • 賃金台帳(転換前後6ヵ月分)
  • 出勤簿(転換前後6ヵ月分)
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書※3ヵ月以内) or 事業所確認表(様式第8号)

キャリアアップ助成金は、助成金の中で申請作業が最も簡単な助成金の一つです。

上記通り、実際に行い、しっかり活用して下さい。

中澤 寛

マザーズ上場・200ヵ国を周る・100人チームを作る、人生をかけて本気でチャレンジするブログ。

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